キラリ 夏のツワモノたち

ANAGA Diary vol.20キラリ 夏のツワモノたち

ぐるり海に囲まれた淡路島では、潮が引くと大小様々な潮溜まりが出現します。
淡路島随一の磯浜、洲本市由良の熊田海岸や、南あわじ市丸山海岸では、
磯の観察に最適な無数の潮溜まりが見つかります。
真夏の潮溜まりは、強い直射日光を浴びて水温が急上昇し、塩分濃度も一気に高まります。

激しい環境の変化にも関わらず、じっと目を凝らすと小さな生き物達が、しきりに活動している姿に気づきます。
砂に半分潜りながら、また岩の隙間からヤドカリやイソガニが次々に現れ、身を隠しながらも俊敏に動いています。

小さな体にどれほど逞しい力を秘めて、めまぐるしく変化する夏を生き抜いているのでしょう。
冷たい波に脚を洗われながら、そっと石の下をのぞいてみたら、きらり!輝く『夏のツワモノたち』にも出会います。

浜辺にはハマゴウ、ハマボウフウ、チョウセンアサガオなど、砂に深く根を張り、
地を這う様に丈夫な葉を繁らせる逞しい野草を目にします。
その花の多くが、意外なほど清楚で涼しげなのにも少し驚きます。

灼熱の夏の浜辺には、『ツワモノたち』の勝鬨の声が響いているようにも思えます。

真夏になると急に花の数が少なくなりますが、淡路花さじきでは、暑さに負けず、鮮やかな花畑が丘を装っています。
『ふれあいの花園』では約8万本のひまわりが夏を謳歌し咲き誇っています。

ぎゅっと握りしめたような蕾からは、溢れんばかりの力が伝わってきます。
花をよく見ると、外側の黄色い花弁だけではなく、
中央に向かって小さな花弁がぎっしりと集まっているのに気付きます。
花の後には、夥しい数の種が収穫できます。
そしてその種には、リノール酸、カリウム、ビタミンEなど非常に多くの栄養素が含まれています。

古代ギリシャ神話の中でも、またオランダの画家ゴッホにとってもユートピアの象徴として描かれたひまわりは、
夏の『ツワモノ』の代表格のひとつに違いありません。

ひまわり畑の傍らには、真っ赤なサルビアと白い蕎麦の花が鮮やかなコントラストを描いています。
そして『花の小径』では、風に舞う蝶々のようにクレオメが、涼しげに揺れています。

淡路ハイウエイオアシスに隣接する兵庫県立淡路島公園内では、
7月15日『ニジゲンノモリ』というテーマパークがオープンしました。

日暮れと共にスタートする『NIGHT WALK 火の鳥』は、
自然とアニメとテクノロジーが一体となった幻想的なアトラクションです。

全長1、2kmという広大な夜の森に、手塚治虫原作の『火の鳥』をテーマに展開します。
最新の映像技術と音響効果に導かれ、自らの足で歩き、
非日常の『ツワモノ』世界を体験するのも楽しい夏の夜の過ごし方ではないでしょうか。

暦の上では、立秋を迎えます。
秋の気配を感じるには、まだまだ時期尚早の感もありますが、
栗の木には、早や、小さなイガが色づき始め、柿の木にも緑の柿が実っています。

夕方になるとカナカナカナというひぐらしの声が主流となりました。
秋隣りという季語がありますが、秋は木陰の長いベンチの端っこに、
早くもそっと腰を降ろしかけているのかもしれません。