嫋やかに 0.5分咲き 枝垂れ梅

ANAGA Diary vol.05嫋やかに 0.5分咲き 枝垂れ梅

ポンと跳ねてみたり、じっと佇んだりしながらも、春は一歩一歩とその歩みを進めています。
南あわじ市八木には、樹齢ほぼ60余年のみごとな枝垂れ梅が毎年早春を祝う緞帳のように花開きます。
3月上旬に満開を迎え、そのみごとな姿で春爛漫を高らかに宣言します。

しかし、まだ寒さが残るこの時期のしだれ梅にも、奥ゆかしく健気な風情が漂います。
大急ぎで駆けてきた春の使者達の胸に、一つずつ勲章を授けるように凛と花が輝いています。
服部嵐雪作の句に『梅一輪一輪ほどのあたたかさ』があります。
厳しい環境の中で精一杯に開く可憐な桃色の花びらに、心をよせた人々は古代から多かったのではないでしょうか。

南あわじ市広田梅林でも冬木立の合間を縫うように淡い幽玄の世界が広がっています。
寒風の中、一生懸命に春を呼ぶ梅の花たちのコーラス隊の姿にも思えます。

梅林ももうすぐ満開を迎えます。

そういえば月が変われば桃の節句
箱の中でおひなさま達が、出番を待ってうずうずしているのではないでしょうか。
古くは季節の変わり目の邪気払いの儀式として行われていたそうですが、
江戸時代以降は女の子の成長と幸せを願うお祭りへと変化していったようです。
梅、桃、桜と淡い華やかな花が咲きそろうこの時期は、まさに女の子の節句としては、とっておきの季節ではないでしょうか。

この度はねずみのお雛様が登場しましたが、実際のノネズミやヤマネ達は今の季節、まだ冬眠の真最中でしょう。
でも木の葉が厚く積もった陽だまりの下では、早起き達がごそごそ活動を始めているかもしれません。
「ちょっと、もうすぐそこに春がきているみたいよ」なんていうないしょ話も聞こえてきそうです。

灘漁港では、早春の恒例行事として、豊漁を願う神事の後、稚魚達が放流されました。
マコガレイ100匹とオニオコゼ250匹が大海を目指して岸壁から放たれました。
おおきくなーれ!と願うばかりです。

道を歩けば、丸々と育ったキャベツ、白菜、ブロッコリーがひょこひょこ顔をのぞかせています。
たまねぎの植え付けも終了です。

2月の淡路島は、季節の変わり目、新しい季節の誕生する微妙な表情があちらこちらで見られます。
透き通るような新芽の色合いの美しさや、草花の芽ぐむ可憐な様子は、日常を洗い流すような清々しさに満ちています。
美味や美酒と共に一足先の春を愉しむのもこの季節ならではのことのように思います。